喜んでもらう。

幼い頃から、僕は人を喜ばせることが好きでした。

お遊戯会でセンターで歌うと、親が笑顔になってくれる。絵を描いて賞をもらえば、先生が褒めてくれる。いたずらだって、友達が笑ってくれるからこそ、やっていたんです。振り返ってみると、こうした「人が喜んでくれる瞬間」が、今の僕の思考や行動の原点になっている気がします。

誰かを喜ばせるためには、まず相手の求めていることを満たすのは当たり前。でも、それだけではなく、相手の予想を超える価値を届けること――それが、僕が最も大切にしていることです。そのために、ただの「答え」を出すだけではなく、いろんな角度から物事を考えるようになりました。

その過程で、人だけでなく、モノや出来事の隠れた魅力を見つけることが大好きになりました。たとえば、誰かが見過ごすような普通の石ころに、僕はダイヤの原石を見つけ出す感覚で接するようになったのです。

その原石を磨き上げ、デザインで表現するという仕事に出会えたことで、人が本来の輝きを取り戻したり、モノが売れ始めたり、そして何気ない日常の見方が変わったりと、さまざまな感動的な瞬間を目の当たりにしてきました。

そして今、僕が生涯をかけて取り組みたいと思うのは、「その人の理想を映像化すること」です。

これは、ただ豪華なロケーションや、華やかな演出をすることではありません。もっと本質的な、自分でも言葉にしにくい「価値観」や「理想」、そして「大切にしてきたもの」を、シネマティックな映像として残すこと――それが僕の目指すものです。